平尾とうふ店 ディープな鳥取ガイド♭3

〒680-1243 鳥取県鳥取市河原町佐貫1206 0858−85−2240 https://hiraotoufu.com/ 定休:日曜月曜 9:00〜18:30

一度食べたら病みつきになる味

社長だった母が末期の癌だと分かった時、手術も、抗癌剤治療もできない状態だった。高濃度ビタミン点滴とマイクロウエイブ(体の内部の癌細胞を破壊するための熱を加える機械)以外はやれることといえば、食事療法。出来るだけ無農薬に近い有機栽培の人参と葉物をジュースにして、大量に飲無ことが必要でしたが、これが、野菜の得意でない母にとっては、なかなか大変だった。あとは、玄米粉のスープにお豆腐などが、食べられる数少ない大切な食料源だった。

母が亡くなる前の年の春に、首が痛いと言っていたのが、すでに骨転移だったとわかったのは、10月の終わり。夏になって、痛くて眠れなくって、10キロ痩せたと母から聞いて、それはおかしいと、内臓の検査に行ったら、肝臓の転移が見つかり、間も無く元凶は、大腸癌だとわかった。ずっと母は元気で病気をすることはないと、勝手にたかを括っていた私だったが、おそらく母自身が一番びっくりしたに違いない。どんなことをしても、元気になってもらいたいと、体に良い食材を探し求めた。食事の量が極端に落ちた母が、生きて行くために、必要なタンパク質を摂る方法として、お豆腐は最適だった。いつも有機野菜を買うお店に「平尾とうふ店」の朧豆腐が売っていたので、何気に買って食べたのが縁。

しっかりと味の濃いお豆腐だから、癌に良くない塩分をへらすことができるので、とにかくここ「平尾とうふ店」の朧豆腐を欠かさなかった。車で、わざわざ本店まで、買い出しに行くと片道30分近く掛かったが、その方が気が紛れるから、暇なわけではないのに、いつもわざわざ佐貫の本店まで買いに行った。母の命を繋いでくれた豆腐。思い出の豆腐。心から感謝です。一口食べればわかる、第一回中四国地区うまい豆腐を決める品評会で銀賞を受賞した朧豆腐の味。病みつきになること間違いなしのおいしさです。

ここは油揚げも美味しい。焼くとカリッとして、擦り下ろした生姜に茗荷や青紫蘇やネギを薬味に、出汁醤油をかけるのが私の好みの食べ方、お味噌汁に入れてしまうのは、なぜかもったいないから、こうしていつも焼いていただきます。是非、お試しください。

既に鳥取を代表する豆腐屋さん

おじいちゃんとお婆ちゃんが真面目にコツコツと地元の方々と作り上げた豆腐店を「鳥取を代表する豆腐屋になりたい」と、継承している豆腐屋の二代目は、お孫さん。個人的には、既に鳥取を代表するお店になっているのではと思っている。その思いが十分に伝わってくるお豆腐店屋さんです。